うちにはねこがいる。最近寝てばかりいる。元々ねこは暑さには強いとはいえ、ここ最近の強烈な暑さのためか、食欲もなさそうだ。ごはんを全部平らげてくれない。
付き合って十五年を越えている。さすがにもう歳なんだろうか。鼻先に人差し指を伸ばしてやると、え? 何? 遊んでくれるの? と無我の境地で必死に私の指先を追い掛けてきた、幼い頃のお前はいったい何処へ行ってしまったというのか。
とりあえず食欲がなさそうなのが気になるので、試しにいつものカリカリキャットフードではなく、レトルトパウチに入った猫用のシーチキンみたいなごはんをあげてみた。
もりもりむしゃむしゃ召し上がる。今までの食欲のなさそうな、この世のすべての不幸をその猫背に負っていたような表情はどこへ行ったのか。
現金なものだ、と思う。そしてもりむしゃ食べる姿を見ながら、美味しいものを食べられるだけで吾輩幸せ! みたいな顔してるなぁ、とも思う。
人間にしても、美味しいものを食べてる時はやっぱり幸せな気分になれる。それが気の合う友達や好きな人と一緒なら、もっと幸せな気分になれる。そう考えると、人間の方がいろんなものに幸せを感じられる分、お得なのかなって気もしてくる。
ねことは十五年ほどの付き合いなので、そろそろ私も愛想を尽かされ、飽きられたのかもしれない。そんな不安もあったけども、どうやらそういうわけでもなかったようだ。できることなら、また私の指先を無邪気に追い掛けて来て欲しいとは思うが、それは私の我儘というものなのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿