LAMY「イラストレーター 兎村彩野さん インタビュー」より転載 |
LAMYサファリと聞いて、すぐに何のことだかわかる人というのはどのくらいいるんだろうか。
まずLAMYとはドイツの筆記具メーカーで、そのLAMYが生産・販売する万年筆のシリーズの一つにサファリというラインナップがある。これが通称LAMYサファリと呼ばれている。
万年筆というと高級筆記具のイメージがあると思うけど、このLAMYサファリは4000円(+税)という、万年筆としては非常に手頃な値段設定となっている。
もちろん手頃な値段と言っても、普段数百円~千円程度のボールペンやシャーペンしか使ったことがない人にとっては、高級な部類に入るかもしれない。筆記具に興味のない人にとっては、万年筆を買うこと自体が無駄に感じるという人だっているだろうね。
だけどLAMYサファリはそういう人にこそ、おすすめしたい万年筆かもしれない。
まずデザインが、大半の日本人が万年筆に持つ古臭いだとか、金持ちの年寄りしか使わねーんじゃねぇか? と言ったイメージとかけ離れている。めちゃくちゃカジュアル。モダンデザインというのかな。でもカジュアルなデザインだからって、決して安っぽい作りではない。
そもそも万年筆を愛用する人は、なぜ万年筆を愛用するのか? この問いは恐らく実際に万年筆を使ってみてはじめて実感としてわかってもらえると思う。
まずボールペンなどとは書き心地が全く違う。一度万年筆を使うと、文字を書く時のストレスから解放されるんだ。この感覚は万年筆を使ったことがない人には説明が難しい。
文字を書くのにストレスなんてあるわけないだろうって、普通は思うんじゃないだろうか。ところが万年筆のヌルっとした書き心地を知ってしまうと、ボールペンの類いで文字を書く時の無駄な力や紙面との摩擦が意外とストレスになっていることに気付かされるんだ。
もちろん万年筆によって書き心地も変わってくるのは確かなんだけど、LAMYサファリはかなりいい部類に入る。クオリティとしては恐らくペリカンの200/205で知られるラインと渡り合える、と吾輩は感じている。ちなみにペリカンの200/205ラインは、12000円~という値段設定で、万年筆を初めて買おうという人には若干高額に思われる値段帯かもしれない。
東京でLAMYサファリ2014年限定色コーラルピンクを探してみた
22時30分大阪発の夜間高速バスに乗り、吾輩は東京・新宿へと向かった。
この時期、昼の陽気に反して夜気は肌に染み入るように寒い。吾輩は近所のコンビニに出掛ける程度の軽装で出て来たことを後悔した。
翌朝6時に新宿に到着。吉野家で腹拵えを済ませた後、街をぶらつく。7時、店の開店と同時にカフェに入って再び腹拵えをする。
そして吾輩は、この日会う予定の人物にコンタクトを取った。普段はネットを介して、手強いモンスターを共に狩っている仲間の一人だ。
「こちら、スネーク。潜入ポイントに到着した。連絡されたし」
今回の狩りのターゲットはモンスターではない。LAMYサファリ2014年限定色コーラルピンクの確保がメインターゲットだった。いわば採集クエストと言うべきか。
なぜ東京まで来て万年筆を確保するのか。別に東京にまで足を延ばさずとも、地元の文具店で手に入るというのに。
狩り仲間とは言え、その人物はリアルではこの日が初めての顔合わせとなる相手だった。せっかくなので、初対面の思い出として記憶に残せて、なおかつ日常的に使えるようなアイテムを買って帰ろうと吾輩は目論んでいたのだ。
狩り仲間との待ち合わせ
背が小さくて髪の毛が短くて、目元はアイラインで真っ黒という特徴を手掛かりにして、吾輩は新宿京王線・モザイク通りの坂下で、狩り仲間である相手の女性と待ち合わせた。
地元大阪ではLAMYサファリは決して珍しいものではない。大阪のさらにローカルの阿倍野ですら東急ハンズ、ロフト、丸善、三省堂、スタンダードブックカフェ、ペレペンナ(地元の文具店)などで取り扱いがある。2014年限定色コーラルピンクとても、東急ハンズとロフトを除けば、全ての店で店頭に並んでいた。
そんなわけで、LAMYサファリ確保クエストは、恐らく午前中には片付くだろう。その後、何して遊ぶか、どこを見て回ろうか、などとデート気分で浮かれていたことは否めない。
ただし誤解のないように断っておくが、出会い系サイトで知り合って待ち合わせというわけでもなく、ただ狩り仲間と会って一日遊んで過ごす、ただそれだけが目的である。吾輩は断じて下心などは持っていない。大事なことなのでもう一度言おう。断じてない。
そうして待ち合わせに現れたのは背が小さくて髪の毛が短くて、目の周りがアイラインで真っ黒なグレムリン似の女性だった。グレムリンと言ってもギズモの方ではなく、悪い方のグレムリンの方だ。その後もう一人、同じく狩り仲間の女性と合流した。そちらはギズモ似だった。
誤解のないように断っておくが、吾輩はグレムリンは嫌いではないし、ギズモだって嫌いじゃない。そして似てるといっても印象だとか雰囲気だとか、そういったものが似てると感じただけであって、グレムリンもギズモも全然嫌いじゃない。そしてこの記事が彼女らの目に留まって、後で脅されるのではないかとびくびくしてるがために、こんな言い訳じみた、フォローするかのような物言いになっているわけではない。断じてない。
東京では人気の品は品薄になりがちなのか
何はともあれ、合流後、新宿・銀座と文具店を見て回ったものの、ターゲットが全く見つからないという状況に陥った。LAMYサファリ自体はあるのだけども、2014年限定色のコーラルピンクが見つからないのだ。ネット検索で取り扱い店舗を調べて、シラミ潰しに探して回った。それでも見つからなかったのだ。大阪ではあれほど見掛けたというのに!
単純に考えると、あまりの人気のために売り切れてしまったということなんだろう。しかし、ではなぜ大阪ではあれほど在庫が残っていたのか。
一つの仮説を立ててみた。
東京は日本最大の人口を抱える都市である。そこは確かに物が溢れ返っている。しかし人気の品、それも各都市に割り当てが決まっているような品物に限って言えば、決してそうではないのかもしれない。
人口の多さに比例して購入者の絶対数は当然増える。日本最大の人口を抱える都市であれば、その購入者数も日本最大ということになる。割り当てが決まっていれば、人気の品ほど東京から品切れが始まる、と考えるのはおかしいだろうか。
東京の割り当てを余程極端に厚くした配分であれば、そうとも言えないだろうけど、そうなれば他の都市の在庫の確保が難しくなる。極端に地方の配分を減らさなくてはいけない。
今回の件はそれほどまでに現在、人口が東京に集中してしまっている、という状況の現れなのではないか。
いずれにせよ吾輩の「思い出の品を買って帰ろう計画」はここに頓挫してしまった。
品薄なものも通販なら大丈夫
大阪に帰って来たその日のうちに、AmazonでLAMYサファリ コーラルピンクを注文した。「思い出の品を買って帰ろう計画」自体が頓挫してしまったのは残念だったが、帰って来たその日のうちに購入することで、一応自分の中では「思い出の品」ということにしてしまいたかったのだ。
「思い出の品を買って帰ろう計画」は自分の足で探して回ることが前提だったので苦戦することになったが、ただ買うだけなら通販で十分である。まったく便利な世の中だ。それにしても今回の失敗で気付いたことがある。本来、東京みたいな大きな都市ほど通販は有効なのかもしれない、ということだ。
通販でしか買えない類いの品ではなくても、人気の品であれば実店舗を探し回るよりもはるかに効率的だ。当たり前と言えば当たり前の話なんだけども、こうして実感として通販のありがたみを知ることになるとは思いもしなかったね。
ちなみに限定色はAmazonでもあまり値引きされないが、スタンダードカラーであれば二千円台で手に入る。気になる人は実際に調べてみてくれても構わない。
リンク
そして一週間後
もうすでに毎日のようにガシガシ書いて使っている。ちょっとしたメモやアイデアノートへの書き込みと大活躍である。
ちなみにLAMYサファリは、このコーラルピンクで3本目だ。メモにはEFという一番細いサイズのペン先、A5やB5サイズのノートへの書き込みにはEFよりも少し太めのFというペン先と使い分けている。
値段が手頃だからこそ気軽に使い込めるし、色違いで買ってみたりペン先の太さを変えて買い揃えてみたりしやすい。こういうところもLAMYサファリの人気の秘密なんだろうな。
そして一週間が経った今、すでに新しく万年筆が欲しいと思ってしまっているのは、どうしたことだろう。もちろんLAMYサファリに不満があるわけではない。
不思議なことに万年筆が好きになってくると、もっと書き心地のいいもの、もっとしっくりくるものはないかと探してしまうものなのかもしれない。今使っているものでも十分満足できるものだというのに。
人間とは本当に欲深いものである。
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