灰原は積読書が溜まってきて困っていた。
購入したものの手つかずのものだけで百冊を超えているというのに、加えて図書館から借りてくるのだから始末が悪い。
借りているのは合計七冊。来月の六日までに一冊、十八日までに五冊、二十九日までに一冊を返さねばならない。
それまでに何としても読み切らねばならない。
期限は守る。
それが彼の信条だ。
しかし気分はもう多重債務者のようであった。
自分に問い掛ける。
なぜ読むのだ。
吾輩は読むよりも書くことを優先しなければならぬというのに。
なぜ借りる。
借りれば返さねばならぬ。
貧乏性ゆえに、どうせ返すなら読んでから返そう。
そうなるに決まっている。
そうなれば書く時間を削ってまで読むことになるではないか。
そうなるのがわかっていながら、なぜ読むことを、そして借りてくることを止めぬのだ!
しかし一方、心のどこかで三日に一冊のペースで読み切れば何とかなるとも思う。
そうするとブログとか書いてる余裕ないよなぁ。創作も進められないし。
ええい。だから言っているではないか!
もう借りるのはよせ! 今所有している分を全て読み終えるまで買うな、借りるな。
うん、わかった、そうする。
そうした一人会議を経て出た決議であるというのに、恐らく反故にするであろうことも灰原は承知しているのだった。
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